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第7話 産学官連携をデザインする。

遠州食品加工業協同組合 理事長/株式会社魚秀 岡安 俊成氏(静岡県浜松市)
 

No.1 学生にデザインを教える

藤田 遠州食品加工業協同組合(以下、遠食)さんとは産学官連携の取り組みでお世話になっています。
 
岡安 こちらこそ。専門学校浜松デザインカレッジの学生さんと共通認識を持ち、活動のベクトルを合わせる産学官連携では、若い世代の感性やアイデアを身近に感じることができて大変刺激になりました。こうして学生さんに教えるようになってから、もう長いのですか?
 
藤田 2008年に浜松デザインカレッジが開校する際に、「実践で活躍されている方にぜひ、講師をお願いしたい」とお話をいただいたんですよ。
 
岡安 そうでしたか。実践で長く仕事をされている方の生の声こそ学生には必要なんでしょうね。講師の立場としてデザインを学生に教えるというのはいかがですか?
 
藤田 僕の場合は、今までやってきたことを整理して学生に伝えるようにしています。自分がデザインを生み出すプロセスを改めて整理しているという感じでしょうか。とても大変ですが自分にとっても、良い経験になっていると思っています。
 
岡安 それは実践だけではなかなかできない経験だと思います。僕もそうですが、自分の仕事は当たり前と思ってやっているので、意識しないで取り組んでいることが多々ありますよね。経験や熟練は、時に先入観や間違った前提をつくってしまいがち。初心に戻って手法や手順を見直すこともまた大切です。
 
藤田 なるほど、確かにそうですね。学生に教えるようになってから気づいたこともたくさんありました。例えば、デザインには3つの段階があるんですが、学生があまり理解できていないことがわかったんです。
 
岡安 3つの段階ですか?
 
藤田 はい。1つ目はモノやコトの「本質」、2つ目はそれを組み立てていくための「仕組み」、そして最後に、ビジュアルとして表出される「形態」です。
 
岡安 へぇー。デザインは「形態」のイメージが強いので、感性で絵を描いたり、カタチを美しく見せたりするスキルが問われるんだろうなと、つい思ってしまいます・・・。その前段階として「本質」と「仕組み」があるわけですね。
 
藤田 その通りです。「形態」は、「本質」を「仕組み」でつなげることで初めてカタチになる。僕は、「デザイン」という言葉を名詞ではなく動詞だと捉えています。もちろん、感性に頼る部分もありますが、表現の技術だけで成立するのではなくて、目的に辿り着くまでの「考え方」までが含まれているものがデザインだと思うんです。
 
岡安 なるほど。つまり藤田さんは、学生さんにデザインの考え方を教えていらっしゃるんですね。
 
藤田 はい、それを目標としてやっています。よく「私はあの子より絵が下手だから」と落ち込む学生がいますが、そういった理由で挫折をしてほしくない。表現だけじゃなくて、計画する部分に個性が出るのがデザイナーなのかもしれません。
 
岡安 確かに、学生さんたちのプレゼンテーションの言葉は、デザイナーじゃない私が聞いても共有できましたからね。
 
藤田 そうなんです! デザインの良いところは、そこにあると思っています。基礎的なデザインの技術は、考え方を言葉で説明できるものです。適切な表現をつくるためには、「誰が」「誰に」「何を」をよく考えて、人の気持ちを動かすようなものを生み出してゆかなければなりません。
 
岡安 ああ、だから「誰が」「誰に」「何を」の部分を丁寧に考えるような授業をされているんですね。今のお話をお聞きして納得しましたよ。
 
藤田 デザイナーは課題解決のために、あるストーリーに基づいて情報を再構築して表現に定着させる。学生には、実践のプロセスを通してデザインという行為の「気づき」を実感してほしいと思っています。学生にとって産学官連携は、社会に出る前の実践の場として、とても貴重な体験です。
 
岡安 学生さんたちが実践を通して得た「気づき」を社会に発信して、機能させていくことで、デザインの価値も高められていくんでしょうね。学生さんたちの未来に大いに期待したいですね。
 
藤田 そうですね。デザインを学ぶ学生はこの先、社会をより良いものにするために活躍してもらいたい人たちです。どんな仕事をするのにも、物事の本質を捉えるという視点は重要なんです。デザインで企業や商品の価値を高めてくれる人を育て、社会に送り出す責任も感じています。

     

 



ブルックスタジオ制作実例

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遠州食品加工業協同組合(遠食)

2013年6月 遠州地域の食文化の伝承と地域の食品産業の発展を目的として、静岡県西部地区を中心とした和菓子や練り物などの地元の食品加工業会社32社で組織する協同組合。
 
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株式会社魚秀

静岡県浜松市西区舞阪町の練り物製造会社。創業70年、伝統の技を受け継ぎ、はんぺんをはじめとした魚肉練製品(蒲鉾・すりみ・揚半など)を製造している。こだわりの「蒸しはんぺん」は、魚本来の旨みを閉じ込めるため、創業以来一貫して『蒸し』の製法をとっている。また、水産物(あさり・ちりめん・のりなど)の取り扱いも行っている。
 
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※1)CI[コーポレート・アイデンティティ]:企業の社内意識と、社外からの企業イメージが、同一化された状態のこと。目標とする企業イメージを確立させ社会に伝えていき、企業のブランド価値や認知度を高めることで、企業の業績を向上させることがCIの役割である。 また、企業内でもアイデンティティを確立・共有し、社員の心のよりどころや誇りとなる役割もある。
※2)デザインマニュアル:基本的な考え方と具体的な展開基準を示すもの。コーポレートシンボルやコーポレートカラーなど一貫して変わらない基本要素の使用規定、また、アプリケーションの各種のアイテムに展開されていくときの基本的な使用規定が整理される。これにより、デザインシステムの水準を一定に維持することができる。

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