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第7話 産学官連携をデザインする。

遠州食品加工業協同組合 理事長/株式会社魚秀 岡安 俊成氏(静岡県浜松市)
 

 No.2 役割りの違うものを連携させる

岡安 遠食を設立した当時、ブランド・マークをつくりたいと思っても、どこに頼んだら良いのかわかりませんでした。そんなときに持ち上がったのが産学官連携のプロジェクト。藤田さんに携わっていただいて、学生さんに参加してもらうことで、若い人の興味や感性も知ることができ、我々も勉強になることばかりでした。
 
藤田 専門学校は各分野のスペシャリストを育成する実践教育の場です。学生にとっては、企業からの要望に応え、社会の中でデザインをどう機能させるかを実践的に学ぶことは、将来につながる重要な体験です。またとない機会を与えていただき、心から感謝しています。
 
岡安 専門学校の学生さんには若いセンスとアイデアがある。さらに、デザインの社会性を知り、実際に商品開発を体感したいという欲求がある。一方の企業には商品開発力と販売力を高めたいという切実な想いがある。これら2つを藤田さんの専門性が上手く結びつけた。シーズとニーズが手をつないで動き出し、互いに刺激し合いながら進んでいったのではないでしょうか。藤田さんが産学官連携のキーマンでしたね。
 
藤田 社会の中で役割の違うものが連携して社会の経済的循環活動につながるようなことができないか? と考えたのが遠食さんとの産学官連携の始まりでした。最初は「遠食」のブランド・マークをつくるという課題でした。
 
岡安 「遠食」は、遠州地域の食文化伝承と食品産業の発展を目的として、2013年6月に設立した組合です。CI※1の開発のパートナーとして、学生さんとのコラボレーションを藤田さんにお願いしました。
 
藤田 社会の中に「遠食」という存在をどんなイメージで訴求していけばいいのかを考え、その基点となるようなブランド・マークをつくるのが学生たちの課題でした。
 
岡安 中間プレゼンテーション、そして最終プレゼンテーションに立ち合わせていただき、「ああ、デザインってこうやってカタチになっていくんだなあ」と納得しました。学生さんたちは、まず我々が求めているものは何かを聞き取り、遠食がお客様にとってどんな存在になるのがふさわしいか、ポジションを明確にしてコンセプトを考える。ブランド・マークの開発にあたって、そこまで根源的なところから取り組むのかと最初は驚きましたよ。
 
藤田 学生にとっても、プレゼンテーションの場で企業側から直接意見をいただくことは貴重な体験になります。ブランド・マーク制作の実践を通して、企業側の想いをカタチにすることの難しさや、深く洞察することの大切さにも気づけたと思います。
 
岡安 学生のみなさんは、中間プレゼンテーションで出た課題を最終プレゼンテーションまでに修正してくれましたね。最優秀賞に選んだブランド・マークは、現在の遠食のブランド・マークにつながる素晴らしい作品でした。
 
藤田 最終的にブルックスタジオでブラッシュアップして、デザインマニュアル※2とともに完成させました。プレゼンテーションやブランド・マークの発表がプレスにも取り上げられ、学生たちにとっても良い体験ができたと思います。
 
岡安 最後まで面倒を見ていただきありがとうございました。おかげさまで満足のいくブランド・マークができました。協同組合内外の評判も上々です。「これからも産学官連携にどんどん取り組んでいきたいね」なんて話していたら、ブランド・マークが完成した翌年、早速・・・。
 
藤田 「浜名湖おでん」の商品開発ですね!
 
岡安 はい。遠食の認定商品として、商品開発を進めていたんですが、ブランド・マークの実績もあったので、藤田さんにお願いしたら間違いないと思ったんです。
 
藤田 「浜名湖おでん」は、実際に産学官連携が大きな力を発揮した商品ですよね。今では地元のスーパーをはじめ、サービスエリアなどたくさんの場所でお見掛けします。商品を手にとっているお客様がいると僕も嬉しいですね。では、その「浜名湖おでん」のお話を伺ってもよろしいですか?

     

 



ブルックスタジオ制作実例

>遠州食品加工業協同組合
>浜名湖おでん

 

遠州食品加工業協同組合(遠食)

2013年6月 遠州地域の食文化の伝承と地域の食品産業の発展を目的として、静岡県西部地区を中心とした和菓子や練り物などの地元の食品加工業会社32社で組織する協同組合。
 
▶︎遠州食品加工業協同組合ブログ


株式会社魚秀

静岡県浜松市西区舞阪町の練り物製造会社。創業70年、伝統の技を受け継ぎ、はんぺんをはじめとした魚肉練製品(蒲鉾・すりみ・揚半など)を製造している。こだわりの「蒸しはんぺん」は、魚本来の旨みを閉じ込めるため、創業以来一貫して『蒸し』の製法をとっている。また、水産物(あさり・ちりめん・のりなど)の取り扱いも行っている。
 
▶︎株式会社魚秀ホームページ

 


 
※1)CI[コーポレート・アイデンティティ]:企業の社内意識と、社外からの企業イメージが、同一化された状態のこと。目標とする企業イメージを確立させ社会に伝えていき、企業のブランド価値や認知度を高めることで、企業の業績を向上させることがCIの役割である。 また、企業内でもアイデンティティを確立・共有し、社員の心のよりどころや誇りとなる役割もある。
※2)デザインマニュアル:基本的な考え方と具体的な展開基準を示すもの。コーポレートシンボルやコーポレートカラーなど一貫して変わらない基本要素の使用規定、また、アプリケーションの各種のアイテムに展開されていくときの基本的な使用規定が整理される。これにより、デザインシステムの水準を一定に維持することができる。

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