HOME | dialogue | No.1 丸浜柑橘農業協同組合連合会

第6話。産地の農家を元気にするブランディング。

丸浜柑橘農業協同組合連合会 所長 内山 和秀氏(静岡県浜松市)

 
 浜名湖の東岸、三方原台地は全国でもトップレベルの日照時間を誇る平坦で温暖な地で、みかんも太陽の恵みを存分に受けておいしく育ちます。早生みかんの最盛期を迎えた11月半ば、「丸浜みかん」のキャラクター制作から7年経った丸浜柑橘農業協同組合連合会(以下、丸浜)の事務所にお邪魔すると、4兄弟のキャラクターがプリントされたジャンパーを着た内山さんが、笑顔で出迎えてくださいました。
 

 No.1 お客様に期待価値を想像させる

藤田 お忙しいときにすみません。ジャンパー・・・お似合いですね!
  
内山 あはは。これは、藤田さんが来られるからって特別に着ているわけじゃないんですよ。もう日常です。
 
藤田 そうなんですか。しっかり定着されているんですね。
 
内山 他にも、ミニのぼりやパックに入れるラベルにもキャラクターを必ず入れて、売り場でも目に留まるようにしています。 
 
藤田 僕もスーパーで、ネットの中に4兄弟のキャラクターが入った丸浜みかんをよく見ますよ。我が家も家族で丸浜みかんです。
 
内山 それは嬉しいですね。キャラクターができたときに「一度このキャラクターに決めたら積極的に表に出して使い続けてください」とおっしゃっていたので、商品のイメージを喚起させるために、販促物には必ずキャラクターとロゴタイプを入れて統一しているんです。 
 
藤田 キャラクターをつくる前は、「丸浜みかん」という名前では販売していませんでしたよね? 
 
内山 えぇ、当時は店舗では「静岡県産みかん」という表示で売っていました。だから三方原台地の産地色は全くありませんでしたね。それに加えて農家の高齢化や栽培面積の減少などが深刻化していたので、農家も我々も「何とかしなくては」と対策を模索していたところ、農林事務所の方に藤田さんをご紹介していただいたんです。そのときにまず、「丸浜みかんの強みは何ですか?」と聞かれたことを思い出します。 
 
藤田 どうなりたいですか、強みは何ですか? これはブランディングを始めるときに必ずお聞きしていることなんです。 
 
内山 それに対して私たちは言葉に詰まってしまいましたね。「丸浜産地活性化検討会※1」を立ち上げ、産地の活性化はもちろん、農家の活性化を目的に運営していました。農家自身もそれぞれにおいしいみかんづくりには自信を持っていました。ところが、そのおいしさや産地ならではの「強み」をうまく伝えられていなかったんです。 
 
藤田 そうでしたね、ですから検討会で農家のみなさんを含めて「自分たちは何者でこれからどこへ向かうのか?」「この事業を通して社会とどう関わっていくのか?」など、他にはない価値をつくりだすために、様々な角度から議論を重ねました。
 
内山 はい。その中から「産地の農家を元気にする」という目標が生まれました。当時はブランディングという言葉を耳にする機会はあっても、正しい理解までには至らず、打ち合わせを重ねて、目標を掲げたことで、「丸浜ならではの魅力的な価値を正しく伝える」というブランディングへの意識も強くなっていったように感じます。 
 
藤田 僕自身もブランドをディレクションしていく立場として、課題の発見、解決のために様々な視点を持つことが必要になるので、検討会でみなさんの熱い想いや愛情いっぱいのみかんづくりを深く知ることができ、視野が広がりました。
 
内山 しかし正直、認知度が低い産地のブランディングって難しいんじゃないかと思っていたんです。
 
藤田 いえいえ。逆にあまり多くの人に知られていないっていうのは、それだけで貴重だとも言えるんですよ。それに大量生産ではないため管理がゆきとどき、新鮮なみかんを提供できるということも魅力のひとつです。「みんなが知らないけどいいもの」って、それを見つけたときのわくわく感みたいなものもあるでしょう?
  
内山 有名ではないものへの期待感、みたいな?
  
藤田 そうです。お客様に期待価値を想像させることがブランディングには重要で、「おいしい」から買うのではなく「おいしそう」と思って買っていただくんです。 
 
内山 そのために生まれたのが「4兄弟」なんですね。これまでに「おいしそう」と思っていただいて巣立って行った4兄弟がたくさんいると思うと嬉しいです。 
 
藤田 内山さんの言葉から、キャラクターを大切に育ててくれているのが伝わりました。
 
内山 でも、こういう新しいことを取り入れていく場合は、組織全体に浸透するまでにもっと時間がかかるんじゃないかと思っていました。
  
藤田 そうですね。組織外への浸透はそれよりも遥かに時間がかかります。でも丸浜さんは農家の数が多過ぎないところを長所にして、組織みんなでブランドの基礎をつくり、広めていくことができた。だから思ったほど時間がかからなかったんじゃないでしょうか?
  
内山 確かにそうかもしれません。僕ら自身もコンセプトが明確になってキャラクターの使い方がわかってきたので、より販売に活かしていくために市場に対して積極的にヒアリングを始めたんです。
  
藤田 市場関係者の方はどういう反応ですか?
 
内山 キャラクターに対して高い評価をいただいています。ヒアリングをすることで「丸浜みかんの商品の陳列は、キャラクターの露出をもっとこうしてほしい」という意見が伝えやすくなりました。
 
藤田 当初の目的の通り、キャラクターとブランドを使って産地や農家を元気にしたい! という想いが着実にカタチになっているんですね。
  
内山 はい、4兄弟はしっかりと丸浜の柱になってくれています。

     

 



ブルックスタジオ制作実例

>丸浜みかん
>浜松ブルーベリー

 

丸浜柑橘農業協同組合連合会

1968年(昭和43年)浜松市内総合農協並びに開拓農協をはじめ、静岡市農協、清水市農協、静岡県経済連(旧静岡県柑橘連)、静岡県開拓連の共同出資により丸浜柑橘農業協同組合連合会が組織される。産地規模は約133ha みかん生産者250人
 
▶︎丸浜柑橘農業協同組合連合会ホームページ

 


 
 ※1)丸浜産地活性化検討会:丸浜柑橘農業協同組合連合会が主体となり、年6回程の頻度で開催される産地・農家の活性化を促すための生産者を含めた検討会。

contact
contact
ブルックスタジオでは、規模の大小や業種に関わらず、ご相談を承っています。
お気軽にお問い合わせください。
(オンラインでのご相談も承ります。)