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第5話。創業明治三十年、初代 守太郎の豆富造りの意思を守る。

株式会社丸守 代表取締役社長 堀川 一裕氏(静岡県浜松市)
 

 No.2 幻とよばれた豆富

藤田 丸守さんのブランディングには、3つの段階が必要でした。1つ目は「丸守」のことをお客様に知っていただくこと。2つ目は、商品を通じて「丸守」というブランドを経験していただくこと。そして3つ目は、「丸守は○○」というブランド連想をつくりだすこと。
 
堀川 こうやってお聞きすると難しく感じますが、「これぞ丸守! という商品を造りましょう。」とご提案いただいたのはこのためだったんですね。まずはターゲットの絞り込みをして、丸守らしい商品を考えることから始めました。課題は多かったけれど、やりがいも感じられましたよ。
 
藤田 そうですか。当時、「いくら良いものを造っても、豆富はスーパーじゃ100円以上でなかなか売れないんだよ」とおっしゃっていましたね。確かに、ブランド・イメージが消費者に定着していないと価格競争に巻き込まれてしまいますが、安全や品質を重視している人は、多少高値でも買ってくれます。
 
堀川 つまり、ターゲットは、精神的な豊かさや生活の質の向上を最優先させるお客様ですね。
 
藤田 そうです。成熟社会となった今、食へのこだわりも千差万別です。質の良いものを吟味して食したいというお客様は必ずいるはずです。丸守さんの強みは100年を超える歴史があることですから、昔ながらの豆富を味わっていただくことで、丸守さんらしさを充分に伝えられるんじゃないかと。
 
堀川 それで、丸守=老舗のこだわり=生豆富というブランド連想をつくることになりました。生産を中止していた幻の「ざる豆富」を、「濱松豆富」として限定販売で復活させました。
 
藤田 週1回の完全予約販売。期間限定、1つ500円で1日限定100食。ですね。
 
堀川 濱松豆富は、昔ながらの非加熱製法で造る生豆富です。素材や水にこだわって、大豆本来の旨味を活かした手造りならではの、本当のおいしさを味わってもらいたいという願いもありました。
 
藤田 僕も何度もいただいていますが、これが本当においしい。店頭には置かず、朝造ったものをその日のうちにお届けするという販売方法にもこだわりましたよね。
 
堀川 藤田さんの仕掛けで、地元で弁当宅配をされている「知久屋 ファーブル倶楽部」と連携して、予約注文・宅配の協力をしていただきました。
 
藤田 知久屋さんのお弁当宅配のルートがあって、そこに老舗豆富屋の売り切れ御免の幻と呼ばれた「ざる豆富」を「濱松豆富」としてアプローチ。これはきっとターゲットに届くんじゃないかという予感がありました。
 
堀川 宅配で一度召し上がっていただいたお客様から、「今年はいつですか?」というお問い合わせをいただくこともあったんですよ。
 
藤田 期間限定だから、待っていてくださるお客様がいらっしゃったんですね。
 
堀川 そうなんです。魅力を磨いて発信すると、「欲しい」と思っていただけるんですね。「濱松豆富」は、「丸守」というブランド・イメージを上げるためにとても効果があったと思っています。それに、濱松豆富の中に小さなリーフレットを入れたことも、リピーターの獲得につながったと思っています。
 
藤田 「お待たせいたしました」という文章を表紙に入れた2つ折りのリーフレットですね。僕がこだわったのは、売れるための「仕組み」の部分です。「届ける仕組み」だけがあっても、「欲しい」と思っていただけなければ売れませんし、もちろんチラシの表現だけでも売れません。デザインというと表現のことだけだと思われがちですが、機能する「仕組み」と「魅力的な表現」の両方がないと「売れる」はつくり出せないと思います。
 
堀川 なるほど。販売戦略を考えるとき、「斬新なデザインで売上をアップ」と考えがちですが、じわりじわりと浸透して永く愛されるような商品造りが、当社らしいやり方だと思います。「濱松豆富」の後にも様々な商品のお手伝いをしていただきましたが、いろんな「仕掛け」が生まれましたね。たとえば、「ぶっかけゆば丼」も。
 
藤田 そうですね。ゆばの新商品開発ということで、最初は生ゆばとか、刺身ゆばとして売ることをを考えていたんですが、今までと違う魅力が伝わるような売り方を試行錯誤を重ねて、豆乳入りの「ぶっかけゆば丼」ができました。
 
堀川 僕が何気なく、ゆばに入っている豆乳をご飯に絡めて食べるとおいしいんだよって話をしたら、藤田さんが飛びついて「それだ!」と。
 
藤田 沼津市の小学生から直筆のお手紙をいただいたんですよね。「丸守さんのゆばはとてもおいしい」って。
 
堀川 あれは嬉しくて涙が出ました。
 
藤田 嬉しいですよね。そういうお客様がいるんですよ。一般的な尺度で考えたら、ゆばは品のいい高級品。「お豆富屋さんが丁寧に、丁寧に造ったゆばをぶっかけて食べるなんて・・・」という気持ちがありますよね。でも、ゆばは栄養もあるし、本来、気兼ねなく食べたいというのも、食べる側のニーズとしてあるんじゃないかなと思ったんです。
 
堀川 なるほど。丸守としては、食べ方はどうあれ、「おいしい」と喜んでいただけるのが一番です。お客様のニーズをより正確にキャッチする必要があるなと、改めて思いました。今の時代、新しく柔軟に発想の幅を広げていかないと将来は先細るだけですよね。
 

     

 



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株式会社丸守

創業明治30年、初代 守太郎のこだわりを守る浜松の豆富屋。有玉西町に工場を構え、南アルプス最南端の水脈の雪解け水を敷地内地下約300メートルからくみ上げ、豆富造りの全行程に使用。大豆、水、にがりだけで安心・安全にこだわった非加熱製法の豆富造りをしている。
 
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